バネの計算圧縮コイルバネ
各寸法の名称
各部の名称と説明
No | 記号 | 記号の意味 | 単位 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | d | 材料の直径 | mm | |
2 | Di | コイル内径 | mm | |
3 | Do | コイル外径 | mm | |
4 | D | コイル中心径 | mm | |
5 | Na | 有効巻き数 | - | バネとして動く部分の巻き数 3未満では、バネ特性が不安定になるので、3以上とするのがよい |
6 | - | 座巻数 | - | バネとして動かない部分の巻き数 |
7 | Nt | 総巻数 | - | 有効巻数+座巻数 |
8 | - | 巻き方向 | - | |
9 | Lo | 自由長 | mm | 荷重がかかっていないときのバネの全長 |
計算式・設計
記号と用語の説明
No | 記号 | 記号の意味 | 単位 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | Hs | 密着高さ | mm | 全圧縮したときのバネの高さ |
2 | c | D/d バネ指数 | - | 巻き加工の加工性を表す指数(4~22が理想) |
3 | G | 横弾性係数 | N/mm2 | |
4 | P | バネにかかる荷重 | N | |
5 | δ (δ1・δ2) |
バネのタワミ | mm | 加圧によるバネの変化量 |
6 | κ | バネ定数 | - | タワミ1㎜あたりに発生するバネの力 |
7 | τ0 | ねじり応力 | - | |
8 | τ | ねじり修正応力 | - | |
9 | k | 応力修正係数 | - |
横弾性係数 G
材質 | 備考 | |
---|---|---|
バネ鋼鋼材 | 7.85×10⁴(78,500) | |
硬鋼材 | ||
ピアノ線 | ||
オイルテンパー線 | ||
バネ用ステンレス鋼 | SUS304、SUS316 | 6.85×10⁴(68,500) |
SUS631J1 | 7.35×10⁴(73,500) | |
黄鋼線、洋白線 | 3.9×10⁴(39,000) | |
りん青銅線 | 4.2×10⁴(42,000) | |
ベリリウム銅線 | 4.4×10⁴(44,000) |
計算式
- 1.バネ定数
- 2.バネ指数(c D/d)
- 3.タワミより荷重計算
- 4.密着高さ
- 5.ねじり応力(静荷重使用)
- 6.ねじり修正応力(動荷重使用)
- 7.応力修正係数
応力
1.静荷重使用の場合
- ■静荷重とは・・・
- バネの使用状態で荷重変動が無い。
繰り返し荷重があっても、約1,000回以下の動作しかないもの。
この場合、変形やその結果荷重低下しなければ良いので、許容応力は、材料の弾性限度内にあればよい。
また、JIS B 2704に許容されるねじり応力の基準を図のように定めている。
バネ使用時の最大応力は下の図に示す値の80%以下にする。
2.動荷重使用の場合
- ■動荷重とは・・・
- 繰り返し荷重で使用される場合
- ① 圧縮バネのネジリ修正応力の計算式を使用して、ばねの使用中における
下限応力τminと、上限応力τmaxを計算する。 - ② τmin・τmaxと、材料の引張強度σbとの比である、下記を計算する。
- ③ 下の図より交点の座標を読む。
許容差(公差)
日本工業規格(JIS) JIS1~3級(冷間成形ばね許容差)での許容差
※当社では、これより厳しい許容差にも対応いたします。(打合せの上)
バネ特性の許容差
指定高さのときの荷重(力)の許容差
(単位:N)
有効巻数 n |
等級 | ||
---|---|---|---|
1級 | 2級 | 3級 | |
3以上 10以下 | ±5% | ±10% | ±15% |
10を超えるもの | ±4% | ±8% | ±12% |
バネ定数の許容差
(単位:N/mm)
有効巻数 n |
等級 | ||
---|---|---|---|
1級 | 2級 | 3級 | |
3以上 10以下 | ±5% | ±10% | ±15% |
10を超えるもの | ±4% | ±8% | ±12% |
バネ寸法の許容差
自由長
(単位:N)
バネ指数 c (D/d) |
等級 | ||
---|---|---|---|
1級 | 2級 | 3級 | |
3以上 8以下 | ±1.0%、 最小±0.2 | ±2.0%、 最小±0.5 | ±3.0%、 最小±0.7 |
8を超え 15以下 | ±1.5%、 最小±0.5 | ±3.0%、 最小±0.7 | ±4.0%、 最小±0.8 |
8を超え 15以下 | ±2.0%、 最小±0.6 | ±4.0%、 最小±0.8 | ±6.0%、 最小±1.0 |
※ Dはコイル平均径、dは材料の線径を示す。
※ 表の両条件のうち、絶対値の大きい方の値とする。
※ バネ特性の指定のある場合(荷重、バネ定数)は、自由長は参考値とする。
コイル内径または外径
(単位:N/mm)
バネ指数 c (D/d) |
等級 | ||
---|---|---|---|
1級 | 2級 | 3級 | |
3以上 8以下 | ±1.0%、 最小±0.2 | ±2.0%、 最小±0.5 | ±3.0%、 最小±0.7 |
8を超え 15以下 | ±1.5%、 最小±0.5 | ±3.0%、 最小±0.7 | ±4.0%、 最小±0.8 |
8を超え 15以下 | ±2.0%、 最小±0.6 | ±4.0%、 最小±0.8 | ±6.0%、 最小±1.0 |
※ Dはコイル平均径、dは材料の線径を示す。
※ 表の両条件のうち、絶対値の大きい方の値とする。
巻き方向
一般的に指示がない場合は、「右巻き」です。
- ■左巻き
- ■右巻き
端部の形状
一般的には、クローズドエンドが用いられる。
バネの直角度の精度が厳しい場合には、研削(研磨)を行う。
クローズドエンド(無研削、研磨なし)
- クローズドエンド(無研削)とは、端部の巻だけで巻き角度を変えて隣の巻きにバネ線の端部を付ける巻き方です。
直角度が3度以上あるものや、材料の線径が細い(φ0.5㎜以下)もの、
バネ指数が大きい(10以上)ものに対して使用されることが多い形状です。
クローズドエンド(研削、研磨)
- クローズドエンド(研削)とは、端部の巻だけ巻き角度を変えて、
隣の巻きにバネ線の端部を付ける巻き方で、
研削(研磨)をして、据わりをよくしたバネです。
直角度やバネ定数の厳しい公差にも対応しやすい形状です。
オープンエンド(無研削)
- オープンエンド(無研削)とは、ばね線の間隔を変えずに、
最後まで巻く巻き方です。
そのままでは据わりが良くないので、ばね受け皿などばねの
固定するものをあわせて使用されるケースが多いです。
圧縮バネの端面の研削有無の状態
- ■研削前
- ■研削後