ばねの表面処理サビのメカニズムとばねの防錆設計の考え方
- ばねの表面処理の目的
- サビのメカニズムとばねの防錆設計の考え方
- めっき(亜鉛、ニッケル、金、すず)
- めっきの図面記号の解説
- 化成処理(黒染め、パーカー処理)
- 水素ぜい化除去処理(ベーキング)
- 電解研磨・化学研磨・酸洗い・不動態化処理
サビのメカニズム
ばねに使用する材料は強度が高いため腐食すると、強さに及ぼす影響は極めて大きい。特に疲れ強さは、非常に小さい腐食孔でも著しく低下する。金属表面は、単純に考えれば不安定で変化しやすいと言える。大気中の酸素、水、炭酸ガス、腐食性気体、腐食性液体などと反応して不足する。
液体の水が接するとFe + 2H2O → Fe(OH)2 + H2 ・・・ (1) の反応により、水酸化第1鉄を生成する。さらに水および水中の溶解酸素と反応して、赤錆の主成分となる水酸化第2鉄となる。 Fe(OH)2 + 1/2H2O + 1/4O2 → Fe(OH)3
式(1)で発生する水素は、空気中の酸素と化合して水を生成するが一部の水素は、鉄表面に浸透して表面ぜい化を起こすため 疲れ寿命を短縮させるといわれている。
サビ発生を促進する条件として次の3つの条件が考えらえる。
①サビの発生速度は、金属の表面積に比例するため、鉄の表面が荒いほどサビ発生は早い。
②異物の付着は、空気中の水分を凝縮させやすく、サビ発生を促進する。特に塩分や紙、繊維質など吸湿性の異物が付着した場合には、さらにサビ発生が促進される。
③鉄に触れる空気中の温度が変化した場合(温度が下がるとき)は、結露によるサビが発生しやすい。従って、作業場や倉庫などにおける昼夜の温度差には、十分注意する必要がある。
ばねの防食設計の考え方
サビを防ぐには、金属表面と水と酸素に直接触れないようにすればよい。そのためには、金属表面に保護膜を作り、水、酸素などを遮断して、同時にサビ発生を助長するような塩分、指紋、雰囲気ガスなどの進入を防止して、金属耐久性増進に努める必要がある。
ばね強度やコスト面で鉄鋼材料を使うときには、防錆の考慮が必要になる。
防食設計の概要