ばねの表面処理化成処理(黒染め、パーカー処理)
- ばねの表面処理の目的
- サビのメカニズムとばねの防錆設計の考え方
- めっき(亜鉛、ニッケル、金、すず)
- めっきの図面記号の解説
- 化成処理(黒染め、パーカー処理)
- 水素ぜい化除去処理(ベーキング)
- 電解研磨・化学研磨・酸洗い・不動態化処理
ばねの化成処理とは
ばねの防錆処理の方法の一つとして化成処理があります。これはバネの表面を化学薬品で処理することにより化学変化を起こさせ、結果として表面に生成した皮膜を防錆の手段に用いるものである。めっきなどでは、極板に相対した方向ではスムーズに電着が起こるが、ちょうど影になった部分(例えば裏面等)は電着が起こりにくいけれども、化成処理においては、化学薬品に浸漬して処理するのでほとんど満遍なく防錆皮膜を得ることができるメリットがある。
普通ばねに用いられる化成皮膜の生成法としては、黒染めと呼ばれる酸化鉄化成処理とパーカーライジングと呼ばれるりん酸塩化成処理とがほとんどを占めている。
黒染め
「黒染め」または「アルカリ着色法」という名称が一般的です。
この酸化鉄化成処理は防錆対策と同時に黒うるしのような色相と光沢を備えているので、美装化の手段としても使用されます。苛性ソーダの水溶液の中に酸化鉄を混ぜ、約140℃で煮沸して鉄の素地表面に生成する化成皮膜は、正しくは四三酸化鉄(Fe304)で厚さは大体1~3μmと薄く、ピンホール(細かい孔)があるので、よく水洗いした後、塗油して用いることが必要である。塗油していない時は防錆効果がほとんど期待できないので注意が必要です。
黒染めの主な工程
- 脱脂:表面に付着している油脂類などの汚れを除去します。
- 酸洗い:表面の錆び、スケールなどの酸化物を除去し、表面をきれいにします。脱脂と併せて化成処理をよりきれいに施すための下準備です。
- アルカリ洗浄(アルカリ脱脂剤で洗浄)にて、脱脂と洗浄(除錆)を同時に行う場合も多い。
パーカーライジング
パーカー処理、パーカーライジングと呼ばれているりん酸塩皮膜処理は、鉄鋼の表面にりん酸塩の金属皮膜を生成させ、この皮膜により防錆効果を生み出します。りん酸塩を含む薬品を水に適当な割合で浴剤として、適当な温度(90℃前後)で煮沸し一定の時間処理することによって、りん酸塩の化合物が結晶となって鉄鋼の表面に生成された防食皮膜となります。
りん酸塩の被膜は海綿のように多孔質であるので、指定された防錆油を浸透させると防錆処理は向上する。また塗装下地として用いると、塗膜の密着性が向上します。りん酸塩皮膜処理の種類には、マンガン系、亜鉛系があり、マンガン系の中には防錆用だけでなく、耐摩耗性をあげるためのものもあります。薬品の種類、処理温度や時間などの条件によって2~33μm程度の皮膜が生成することもできます。
パーカーライジングの主な工程
- 脱脂:表面に付着している油脂類などの汚れを除去します。
- 酸洗い:表面の錆び、スケールなどの酸化物を除去し、表面をきれいにします。脱脂と併せて化成処理をよりきれいに施すための下準備です。
- アルカリ洗浄(アルカリ脱脂剤で洗浄)にて、脱脂と洗浄(除錆)を同時に行う場合も多い。